イノシシ被害

◇昨年、3億2600万円に
収穫の秋迎え、農家苦悩


  県内各地でイノシシによる農作物の被害が相次いでいる。 県によると、鳥獣による農作物の被害額は昨年、過去最高の約5億5300万円を記録。 このうちイノシシによる被害は約3億2600万円を占めた。 農家では防護さくを設置するなど対策を講じているが被害は減らず、収穫の秋を迎えて頭を悩ませている。(井潟克弘)


  県などによると近年、過疎化や農業の後継者不足などで里山が荒れ、イノシシが市街地付近にまで現れるようになり、農作物への被害が増え始めた。 県内での捕獲数も96年度は3396頭だったが、06年度は約2・5倍の8348頭と急増。 県内のほぼ全域で被害が確認されている。


  宇和島市柿原地区にある石山昌利さん(80) の柿園。 市街地から車でわずか数分の山沿いに約1ヘクタールにわたって柿の木が並ぶ。 「これを見て下さい」。 石山さんが見せてくれたのは、地面に落ちた柿だ。 まだ青いのにイノシシや猿によってかじられた跡があった。 「もうすぐミカンの収穫も本格的に始まる。 この時期に被害が出ると損害は大きくなる」 と話す。


  同市は昨年、イノシシによる農作物の被害面積が、県内の市町で最大の186ヘクタールに上った。 石山さんによると、イノシシによる被害は約20年前からあったが、この4〜5年前から特に目立つようになった。 電気さくの設置など対策を進めているが、イノシシはさくのすき間から入り込むため、完全に被害をなくすことは難しいという。


  県は6月補正予算で約1100万円を計上し、イノシシも含めた「鳥獣害防止対策総合支援事業」 を打ち出した。 防護さくを設置する農家に補助金を出すほか、被害が出にくい唐辛子やシソなどへの転作を提案していく考えだ。


  県農業経営課は「過疎化や農業の後継者不足で、実がなっても取らずに放置されたままの果樹を伐採するなど、被害に遭いにくい地域づくりも進める必要がある」 としている。

asahi.com

 山を譲るしかないのでしょうかねぇ。